上前津は栄三丁目の南で、名古屋市の都心の一部を担っている。
町名でいえば、大須になる。
大須は雑多な街だ。大須商店街は、名古屋で最も繁盛している商店街で、休日ともなれば、往来は人でごった返す。
大曽根や円頓寺といった代表的な商店街が、大型商業施設に客足を取られているのとは好対照だ。
大須はかつて名古屋随一の歓楽街でもあった。
大正末期に、以前紹介した中村遊郭ができる前は、大須近辺に遊郭があった。
現在は歓楽街としては栄地区や錦三などには及ばず、店舗型の性風俗店は多くない。
フッションヘルスは仁王門通というアーケード街の南に1軒見かけただけだった。
その向かい側にはSMクラブがあった。
また、大須地区にはラブホテルも5軒ほど見かけた。
大須一丁目は堀川が西側の境界になっている。
堀川沿いは、以前納屋橋の項で紹介したラブホテル街と交差している。
大須商店街には万松寺、大須観音といった大きな寺院もある。
万松寺は織田信長の織田家の菩提寺として有名だ。
すぐ東側には、万松寺ビルを保有している。
大須観音は、東京の浅草観音などとともに、日本三大観音といわれている。
信長ゆかりの総見寺もこの地にある。
また大須は秋葉原、日本橋と並ぶ電脳街でもある。
2000年代にはパソコンショップが多数存在していた。
私もパソコンのパーツを買いに、よく大須の電脳街を訪れた。今ではその数はかなり減り、電脳街としては縮小している。
けれども今では大須は秋葉原などのように、オタク街として発展している。
メイド喫茶やコスプレ喫茶も多い。
ファッション関係の店もたくさん見かける。
大須の街は、タトゥースタジオが多いところでもある。
タトゥーは今ではファッションの一部となっている。
東京の高円寺、大阪のアメリカ村とともに、おそらく日本で最も多い地域だと思われる。
その中でもエキセントリックスーパータトゥーは、和彫りの彫り師ばかりだった日本で、最初期にできたアメリカンタトゥーのスタジオだ。
そのオーナーのサバド氏は、世界的に有名なアーティストである。
大須はファッション、オタク、電脳、食べ物など、いろいろな要素が詰まった、ごった煮文化の街として、非常に魅力がある街だ。
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