制服姿の女子高校生らに性を売り物にした接客をさせる「JKビジネス」を全国で初めて全面規制する愛知県の改正青少年保護育成条例が7月1日に施行される。
18歳未満の個室での添い寝行為など、今の法律では取り締まりが難しいグレーゾーンに踏み込むのが特徴だ。
一方、規制強化で業者が地下に潜行する懸念も出ている。
裏オプション
東海地方屈指の歓楽街が広がる名古屋・錦。周辺を含めて約100のJKビジネス店があるとされる。
「暇つぶしにもなるし、いいかなと思って」。週4回、マッサージや添い寝をする「リフレ」店で働く少女(17)は金欲しさで足を踏み入れる実情を語る。
店はマンションの一室。給料は客1人当たり5000?1万円になるという。
「裏オプション」として性交渉を求める客もいるといい、少女は「金を吸い取れればいいや、と行為に至る子もいる。でも私はやらない」と打ち明けた。
抜け道断つ
愛知県警によると、JKビジネスに絡み、県内で性犯罪などの被害に遭った少女は2012年以降20人以上に上るが、泣き寝入りするケースもあるとみられる。
現在、JKビジネス自体を取り締まる法律はなく、被害少女がいて初めて労働基準法違反などで摘発しているのが現状だ。
店の多くは風営法に基づく風俗営業などに該当しないため届け出が不要で、立ち入り調査もできない。
このため、改正条例は、18歳未満の少女らが水着や下着姿などで接客する行為を全て禁止する。
立ち入りも可能になり、違反があれば営業停止を命令でき、最大1年以下の懲役か50万円以下の罰金も科せられる。
神奈川県も11年に関係条例を改正し、リフレなどの個室営業に限って禁止。
東京都千代田区も客引きを禁じているが、愛知県の改正条例は最も厳しく、県警幹部は「抜け道を断ち、少女が性の売り物にされる現状が改善できる」と話す。
摘発逃れも
一方、捜査関係者からは「業者がすでに潜り始めており、情報を集めるのに必死」との本音も漏れる。
学校に通いながら店で働く別の少女(17)は「7月に一度やめて、18歳になったら店に戻ってと店長に言われた」と明かすなど、摘発免れの先手を打つ業者も。
店側から中高生の紹介を頼まれるという風俗店関係者の男性は「看板を隠す店が増えた」と見る。
社会学者の開沼博・福島大特任研究員は「JKビジネスがはびこる現実の改善に向けた動きだ」と条例改正を評価した上で、「貧困を理由に続けざるを得ない少女もいる。
そうした若者をどう支援するかも大切」としている。
JKビジネス 数年前から「リフレ」が都市部で急増。
労働基準法の危険有害業務に当たるとして警察の摘発が進むと、他に様々な形態が出てきた。
米国務省が昨年6月に発表した世界の人身売買を巡る報告書は児童買春の温床と問題視した。